食物アレルギー・食物経口負荷試験

食物アレルギーについて

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食物アレルギーとは、特定の食べ物に含まれる成分に対して免疫系が過剰に反応し、身体に様々なアレルギー症状を引き起こす状態のことです。免疫システムが本来無害な食物成分を「危険物」として認識し、IgE抗体を作り、これが再度摂取されることで即時型のアレルギー反応を引き起こします。また近年、IgE抗体が関与しない食物蛋白誘発性胃腸症(消化管アレルギー)も増加しています。

即時型食物アレルギーの原因食物

年齢、国、個人によって異なりますが、日本では、鶏卵、牛乳、小麦が多く見られます。また近年、クルミなどのナッツアレルギーが急増しています。

図:令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書 消費者庁
図:令和6年度食物アレルギーに関連する
食品表示に関する調査研究事業報告書 
消費者庁

即時型食物アレルギーの症状

皮膚・粘膜症状、消化器症状、呼吸器症状、神経・循環器症状があります。複数の臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与える過敏反応をアナフィラキシーと名付け、その最重症は血圧低下や意識障害を伴いアナフィラキシーショックと呼ばれます。

アナフィラキシーガイドラインから
日本アレルギー学会 
アナフィラキシーガイドラインから

即時型食物アレルギーはどうしてなるの?

湿疹のある皮膚に小さな食物の破片が接触するとその食べ物を異物として認識して感作が起こります(アトピー性皮膚炎の二重抗原暴露仮説を参照)。その後実際にその食物を食べたときに、免疫反応が過敏に反応してアレルギー症状が起こると考えられています。

即時型食物アレルギーの検査・診断

問診

何歳ごろ、何を、どれくらい食べて、何分後に、どのような症状が出たのかという詳細な問診がもっとも重要な手掛かりとなります。

血液検査(特異的Ig E抗体検査、皮膚プリックテスト)

特異的Ig E抗体や皮膚プリックテストの陽性は、感作を表しています。しかし、これが陽性となった食物でも食べて症状が出なければ食物アレルギーとは診断されず、除去の必要もありません。まだ食べたことのない食物をむやみに検査することはお勧めできません。今後、症状と一致する検査の開発が期待されています。

食物経口負荷試験・皮膚プリックテスト

特異的Ig E抗体検査や皮膚プリックテストだけでは、食物アレルギーの確定診断はできません。ただし問診から強く疑われた食物が陽性であれば、あえて食物経口負荷試験を行わなくて診断できます。問診ではっきりしない場合、またすでに診断がついている食物が食べれるようになったかを確認する場合に食物経口負荷試験を行います。当院では、平日朝に受診していただき、60分ごとに少量から2−3回食べて症状がみられるかどうかを確認いたします。

即時型食物アレルギーの食事指導

できるだけ完全除去を避け、食物経口負荷試験を行い、症状の出ない量を摂取しながら少量、中等量、日常摂取量と徐々に増量していきます。アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー症状がきちんとコントロールされていること、また原因食物を食べた後の入浴、激しい運動は避けるなどの注意が必要です。

図:「食物アレルギー の栄養食事指導の手引き2017」より
図:「食物アレルギーの栄養食事指導の
手引き2017」より